妊娠3ヶ月の頃、私は人生で最も過酷な時期を過ごしていました。重いつわりに苦しみ、水さえも受け付けない日々が続く中で、さらなる追い打ちをかけたのが喉の奥と舌の裏にできた巨大な口内炎でした。最初は「少ししみるな」という程度でしたが、数日のうちに米粒大から大豆ほどの大きさに成長し、何もしなくてもズキズキと脈打つような激痛を放つようになりました。つわりで吐き気がひどいのに、口の中の痛みでうがいをすることさえままならない。まさに地獄のような状況でした。大好きなはずのオレンジジュースも、酸味が傷口に刺さるようで涙が出るほど痛みました。何とかして治したいと思いましたが、妊娠中ということで市販の薬を安易に使うことへの恐怖心があり、結局は何もできずに布団の中で耐え続けるしかありませんでした。お腹の赤ちゃんに栄養を届けなければならないという責任感と、食事が摂れない自分への不甲斐なさが、精神的なプレッシャーとなってさらに私を追い詰めました。そんな私を救ってくれたのは、妊婦健診の際に助産師さんがかけてくれた「お母さん、まずは自分の痛みを解決していいんですよ」という言葉でした。紹介された歯科医院で、妊婦でも使用可能な粘膜保護剤を塗布してもらい、ようやく少しずつ水分が摂れるようになりました。医師からは、つわりによる嘔吐で口内が酸性に傾き、粘膜がボロボロになっていたことを指摘されました。それからの私は、無理に食べようとするのをやめ、一口サイズの氷を口に含んで冷やしたり、低刺激のノンアルコールマウスウォッシュを活用したりして、少しずつ口内の環境を整えていきました。結局、口内炎が完全に消えるまでには3週間近くかかりましたが、その間に学んだのは「妊娠中の不調を一人で抱え込まない」という教訓です。痛みは体力を奪い、心を暗くさせます。自分を甘やかすのではなく、必要な医療措置を受けることが、結果として赤ちゃんの健やかな成長を守ることに繋がるのだと痛感しました。あの時、勇気を出して専門家に相談したことが、その後の妊娠生活を前向きに変える分岐点となりました。今でも鏡を見て口の中を確認するたびに、あの苦しかったけれど大切な、自分自身と向き合った時間を思い出します。