仕事を終えて自転車で帰宅していた雨の夜、路地から飛び出してきた乗用車に接触され、私はアスファルトの上に投げ出されました。右足と左腕に激痛が走り、救急車で搬送された先は、見たこともない大きな総合病院でした。意識ははっきりしていましたが、レントゲンやCT、エコーなどの検査が次々と行われ、気づけば深夜の2時を回っていました。診断は骨折こそなかったものの、全身の激しい打撲と挫創。処置を終えて会計に向かった際、窓口のスタッフから告げられた金額に、私は耳を疑いました。「本日は自由診療となりますので、8万4200円です」と言われたのです。財布の中には1万円札が2枚しか入っておらず、私はパニックになりました。事故の被害者なのに、なぜこんな大金を今ここで払わなければならないのか。相手の運転手が払ってくれるのではないのか。そんな怒りと不安が込み上げましたが、スタッフの説明によれば、夜間は保険会社と連絡がつかないため、まずは本人に全額を立て替えてもらうルールだとのことでした。結局、私は家族に電話をして夜中にクレジットカードを届けてもらい、何とか支払いを済ませましたが、あの時の惨めな気持ちは今でも忘れられません。翌日、相手の任意保険会社から連絡があり、今後の治療費は保険会社が直接病院に支払う「一括対応」に切り替わると言われましたが、昨夜立て替えた分については、領収書を郵送してから返金までに2週間ほどかかると説明されました。たった数時間の出来事で、生活費として置いていた8万円以上が消えてしまったショックは大きく、その後の通院でも「また高額な請求をされたらどうしよう」とビクビクしてしまいました。この経験から学んだ最大の教訓は、事故の際の医療費システムは被害者に決して優しくないということです。まず、事故の可能性がある限り、予備のクレジットカードを常に持ち歩くべきです。そして、病院の窓口では早い段階で「健康保険を使いたい」と主張する勇気が必要でした。あの時、もし健康保険が使えていれば、立て替え額は2万5000円程度で済んでいたはずです。また、相手の保険会社がどれほど親切そうに振る舞っても、立て替え金の返金には事務的な時間がかかるという現実も知っておくべきでした。事故の怪我の痛み以上に、お金の不安がストレスとなって回復を遅らせることもあります。私はこの体験を機に、自分が加入している保険の特約についても見直しました。弁護士費用特約などがあれば、こうした金銭トラブルの際にも専門家のアドバイスが受けられるからです。突然の事故で心身ともにボロボロになっているときに、お金の問題でさらに追い詰められないよう、最低限の知識と備えをしておくことが、いかに自分を守ることに繋がるかを痛感した1週間でした。
突然の交通事故で病院代を立て替えた私の切実な体験記と教訓