仕事の締め切りに追われ、慢性的な寝不足とストレスが続いていたある冬の出来事です。最初は「いつもの鼻風邪だろう」と軽く考えていました。鼻水が止まらず、少し熱っぽい感覚。しかし、4日目を過ぎた頃から症状は一変しました。鼻の周りと頬にズキズキとした激痛が走り、鏡を見ると、右側の顔面だけが異常に腫れ上がっていたのです。熱を測ると39度。単なる風邪ではないという恐怖で、私はすぐに耳鼻咽喉科を受診しました。診断は「急性副鼻腔炎」。いわゆる蓄膿症が、過労によって一気に悪化した状態でした。副鼻腔という顔の骨の中にある空洞に膿が溜まり、それが周囲の組織を圧迫して激しい顔のむくみと痛みを生み出していたのです。医師からは「もう少し遅ければ、炎症が目や脳の周囲にまで広がって、緊急手術が必要なところでしたよ」という言葉をかけられ、私は自分の無理を深く反省しました。治療は、強力な抗生物質の投与と、鼻の中の膿を吸引する処置が連日行われました。高熱で朦朧とする中での通院は非常に過酷でしたが、処置を受けるたびに顔の重苦しさがわずかずつ取れていくのを実感しました。大人の副鼻腔炎は、子供のそれとは異なり、虫歯や歯周病から炎症が波及する「歯性上顎洞炎」というケースもあるそうで、私も歯科検診を受けることになりました。顔のむくみと熱というサインは、私の鼻の奥で起きていた「バイオハザード」の状態を、必死に伝えてくれていたのです。完治までには2週間を要しましたが、その期間に私は「不調を我慢することの愚かさ」を学びました。顔の形が変わるほどのむくみは、もはや通常の生理現象ではありません。それは、身体の境界線が突破され、深部で激しい戦闘が行われている証拠なのです。この経験を経て、私は鼻詰まりや頬の違和感を決して放置しなくなりました。また、鼻洗浄(鼻うがい)を毎日の習慣に取り入れ、粘膜の健康を守ることを最優先にしています。大人の健康管理において、顔の変化は最高の自己診断ツールです。昨日と違う顔を見つけたとき、そこに熱が伴っているならば、それはどんな仕事よりも優先して解決すべき、人生の優先事項なのです。あの腫れ上がった右頬の記憶を教訓に、私は今、以前よりも健やかで、自分の体に対して誠実な毎日を過ごしています。
働き盛りの大人を襲う顔のむくみと熱を伴う副鼻腔炎の克服記録