副鼻腔炎はありふれた病気だからと軽く考え、市販薬でごまかしたり、自然に治るのを待ったりして放置してしまう人が少なくありません。しかし、適切な治療を受けずに副鼻腔炎を放置すると、単に不快な症状が長引くだけでなく、さまざまな合併症を引き起こしたり、生活の質を著しく低下させたりするリスクがあります。最も多いのが、病気が慢性化してしまうことです。急性副鼻腔炎の段階でしっかりと治療せず、炎症が3ヶ月以上続くと「慢性副鼻腔炎」、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)という状態に移行します。慢性化すると、常に鼻がつまっていたり、嫌なにおいがしたり、頭重感が続いたりするだけでなく、粘り気のある鼻茸(はなたけ)というポリープができて、さらに鼻づまりが悪化することもあります。治療も長期間にわたる必要があり、場合によっては手術が必要になることも少なくありません。また、耳と鼻は耳管という管でつながっているため、鼻の奥で増殖した細菌が耳管を通って中耳に入り込み、「急性中耳炎」を引き起こすことがあります。特に子どもは耳管が短く太いため、このリスクが高くなります。さらに、膿を含んだ鼻水が喉に流れ落ちる後鼻漏が続くことで、気管や気管支に炎症が広がり、「気管支炎」や「肺炎」の原因になることもあります。頻度は非常に稀ですが、最も注意すべき合併症は、炎症が目や脳にまで及ぶケースです。副鼻腔は目や脳と非常に近い位置にあるため、炎症が骨を越えて広がると、「眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)」による視力障害や、最悪の場合「髄膜炎」や「脳膿瘍」といった命に関わる深刻な状態を引き起こす可能性もゼロではありません。これらのリスクを避けるためにも、副鼻腔炎を疑う症状があれば、自己判断で放置せず、必ず耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることが何よりも大切です。
副鼻腔炎を放置しないで!何科で治療しないと危険?