長く続いた咳や熱がようやく治まり、体調が回復してきた矢先に、体にポツポツと広がる謎の湿疹。大人が風邪の治りかけにこのような症状を経験すると、何かの悪い病気ではないかと不安になるものです。この現象には、いくつかの原因が考えられます。最も一般的なのは、風邪の原因となったウイルスそのものに対する体の免疫反応です。ウイルスと戦った後の免疫システムが過剰に反応したり、あるいはウイルスが直接皮膚に影響を及ぼしたりすることで、「ウイルス性発疹」として皮膚に症状が現れることがあります。これは特定のウイルス疾患(麻疹や風疹など)とは異なり、様々な風邪ウイルスで起こりうる非特異的な反応です。多くの場合、かゆみは軽度で、数日から一週間程度で自然に消えていくのが特徴です。次に考えられるのが、風邪によって低下した免疫力です。高熱や体力の消耗によって体の抵抗力が落ちると、皮膚のバリア機能も低下し、普段は何でもないような刺激にも敏感に反応して湿疹が出やすくなることがあります。また、体力が落ちている時に、潜伏していた別のウイルスが再活性化することも考えられます。さらに、見逃してはならないのが「薬疹(やくしん)」の可能性です。風邪の治療のために服用した解熱鎮痛剤や抗生物質、咳止めなどが、体の免疫システムにアレルギー反応を引き起こし、湿疹として現れることがあります。薬を飲み始めてから数日後、あるいは飲み終わってから発症することもあり、原因の特定が難しい場合もあります。薬疹は軽度のものから重篤なものまで様々で、全身に広がる、高熱を伴うなどの場合は特に注意が必要です。このように、風邪の治りかけの湿疹は、単純な皮膚トラブルから、薬の副作用まで、様々な背景が考えられます。もし湿疹が広範囲に及ぶ、かゆみが強い、あるいは体調がすぐれないといった場合は、自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。
風邪の後に大人が湿疹?考えられる原因とは