子育ては、まさに予測不能な出来事の連続です。中でも、子供の突然の体調不良ほど親の心を揺さぶるものはありません。我が家の長女が初めて高熱を出したのは、一歳半のことでした。保育園からの呼び出しの電話に慌てて駆けつけ、ぐったりと熱い娘を抱きしめた時の不安は今でも忘れられません。熱は三日間続き、その間、娘はほとんど何も口にせず、私の腕の中でうとうとするばかりでした。そして四日目の朝、熱が引いた娘のパジャマをめくると、お腹から胸にかけて一面に広がる赤い発疹が目に飛び込んできました。驚きましたが、不思議なことに、娘はその発疹を全く意に介していない様子でした。体を掻こうともせず、ただ少し不機嫌そうにしているだけです。この「かゆみがない」という事実に、私は少しだけ冷静さを取り戻すことができました。インターネットで調べた知識から、これは突発性発疹というものではないか、とあたりをつけたのです。小児科での診断も、やはりそうでした。「熱が下がって発疹が出たなら、もう心配いりません。病気の終わりを告げる花火のようなものですよ」という先生の言葉に、心底ほっとしたのを覚えています。この経験を通して私が学んだのは、子供の病気のサインを多角的に捉えることの重要性です。発熱や発疹という派手な症状だけに目を奪われるのではなく、「かゆみはあるか」「機嫌はどうか」「水分は摂れているか」といった、より本質的な子供の全体像を見ること。そして、親が持つべきは断定的な知識ではなく、様々な可能性を考えながらも最終的な判断は専門家に委ねるという柔軟な姿勢なのだと感じました。子育てにおける不安は尽きませんが、一つ一つの経験が親を少しずつ強くし、次に来るであろう困難に立ち向かうための知恵と心の余裕を与えてくれるのかもしれません。あのかゆみのない赤い発疹は、私にとって親としての成長の一ページを刻んでくれた、忘れられない出来事なのです。