「自分はただの汗っかきなだけだろうか。それともこれは病気なのだろうか」。ひどい脇汗に悩む多くの人がこの境界線で思い悩んでいます。その判断の一助となるのが「原発性腋窩多汗症」という病気の診断基準です。これは医学的に治療を検討すべき多汗症であるかどうかを判断するための世界的な目安です。もしあなたが以下の項目に当てはまるなら一度専門医に相談することを強くお勧めします。まず基本的な条件として「特に原因となる病気がないにもかかわらず、脇の下に日常生活に支障をきたすほどの過剰な発汗が6ヶ月以上続いていること」が挙げられます。その上でさらに以下の6つの項目のうち2つ以上が当てはまる場合に原発性腋窩多汗症と診断されます。①最初に症状が出たのが25歳以下である。②左右両方の脇に同じように汗をかく。③睡眠中は汗が止まっている。④1週間に1回以上の多汗のエピソードがある。⑤家族の中に同じような症状の人がいる(家族歴)。⑥脇汗によって日常生活(仕事、勉強、対人関係など)に支障が出ている。いかがでしょうか。特に「睡眠中は汗が止まっている」という項目は重要なポイントです。寝ている時も汗をかき続ける場合は甲状腺疾患など他の全身性の病気を疑う必要があります。また「日常生活への支障」という主観的な項目が含まれていることもこの病気の特徴です。汗の量そのものだけでなくそれによってあなたがどれだけ悩み苦しんでいるかが診断において非常に重視されるのです。グレーのシャツが着られない、汗ジミが気になってプレゼンに集中できない。これらは立派な「生活への支障」です。このセルフチェックはあなたが医療機関を受診するべきかどうかを判断するための、そして医師に自分の状態を正確に伝えるための重要なツールとなります。