風邪の回復期に現れる湿疹は、しばしば不快なかゆみを伴います。このかゆみに耐えきれず、無意識のうちに掻きむしってしまうと、皮膚のバリア機能が破壊され、症状をさらに悪化させてしまう悪循環に陥ります。細菌が入り込んで二次感染を起こす「とびひ」のような状態になる危険性もあります。専門医の診察を受けることが大前提ですが、それまでの間、あるいは軽度の症状の場合に、悪化を防ぎ、少しでも快適に過ごすためのセルフケアを知っておくことは非常に重要です。まず、何よりも大切なのは「掻かない」ことです。とは言え、かゆみを我慢するのは至難の業です。そこで有効なのが「冷やす」という対処法です。かゆみを感じる部分に、清潔な濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤などを当ててみましょう。冷たい刺激が、かゆみを伝える神経の働きを一時的に鈍らせ、不快感を和らげてくれます。ただし、冷やしすぎは血行不良の原因にもなるため、適度な時間で行いましょう。入浴の際も注意が必要です。熱いお湯は血行を促進し、かゆみを増強させてしまいます。ぬるめのお湯で、短時間で済ませるのが賢明です。体を洗う時も、ナイロンタオルなどでゴシゴシこするのではなく、低刺激性の石鹸をよく泡立て、手で優しくなでるように洗いましょう。入浴後は、皮膚が乾燥しないうちに、すぐに保湿剤を塗ることが大切です。風邪で体力が落ちている時は、皮膚の水分も失われがちです。無香料・無着色の敏感肌用の保湿ローションやクリームで、皮膚のバリア機能を補ってあげましょう。また、衣類の選択も重要です。チクチクする化学繊維やウール素材は避け、肌触りの良い綿素材など、通気性の良いものを選びましょう。締め付けの少ない、ゆったりとしたデザインの服がおすすめです。これらのセルフケアは、あくまで症状を緩和し、悪化を防ぐための応急処置です。かゆみが続く場合や、湿疹が広がる場合は、必ず皮膚科や内科を受診し、根本的な原因に対する適切な治療を受けてください。