一度経験したかかとの痛みを二度と繰り返さないためには、痛みが治まった後の生活習慣こそが重要になります。足底腱膜炎は再発しやすい疾患であり、その根本的な原因を取り除かなければ、再び痛みに悩まされることになりかねません。予防の基本は、足底腱膜に過剰な負担をかけない環境を日常的に作ることです。まず見直したいのが、体重の管理です。体重が増加すれば、その分だけ足裏にかかる負荷は直接的に増大します。適正体重を維持することは、かかとだけでなく膝や腰の健康を守る上でも極めて効果的です。次に、運動習慣です。健康のためにウォーキングやランニングを行うのは素晴らしいことですが、急に長時間、長距離を行う「オーバーユース」は禁物です。運動不足の状態から始める場合は、短い時間からスタートし、徐々に強度や時間を増やしていくことが鉄則です。運動前には必ずウォーミングアップとして動的ストレッチを行い、筋肉の温度を上げてから活動を開始しましょう。そして運動後には、静的ストレッチを入念に行い、使った筋肉、特にふくらはぎや足裏のクールダウンを忘れないでください。日常生活においては、裸足で硬いフローリングの上を長時間歩き回ることを避けるのも一つの工夫です。室内でもクッション性のあるスリッパやルームシューズを履くことで、足への負担を軽減できます。長時間の立ち仕事に従事している方は、時々屈伸運動をしたり、足踏みをしたりして、同じ姿勢で固まらないように意識することが大切です。そして、何よりも効果的な予防策は、これまで述べてきたストレッチを日々の習慣として継続することです。特に、ふくらはぎと足裏の柔軟性を保つことは、足底腱膜炎の再発予防において最も重要な鍵となります。お風呂上がりなどの血行が良く、筋肉が温まっている時間帯に、毎日数分でもストレッチを行うことを日課にしましょう。こうした地道な努力の積み重ねが、痛みのない快適な歩行を未来にわたって維持するための最善の策なのです。
再発させないための生活習慣と予防策