あれは記録的な猛暑が続いていた8月の終わりのことでした。保育園に通う2歳の娘がヘルパンギーナにかかり、ようやく熱が下がって一安心していた矢先、今度は私の体に異変が起きました。夕方、仕事をしている最中に突然、背筋にゾクゾクとする寒気を感じたのです。エアコンの効きすぎかと思いましたが、帰宅する頃には節々が痛み出し、体温を測ると一気に39度4分まで跳ね上がっていました。これが私の「大人のヘルパンギーナ」との戦いの始まり、すなわち初期症状の洗礼でした。翌朝、熱はさらに上がり40度を超えました。頭が割れるように痛み、意識が朦朧とする中で、喉にこれまでに経験したことのない違和感を覚えました。唾液を飲み込むたびに、喉の奥に火のついた針を数十本突き立てられるような、あるいは割れたガラスの破片を飲み込んでいるような、形容しがたい激痛が走るのです。鏡に向かって大きく口を開けてみると、喉の奥の柔らかい部分が真っ赤に腫れ上がり、そこに白っぽい小さな水ぶくれがいくつも点在していました。「これが娘の言っていたお口のポイポイか」と理解した瞬間に、大人の自分がかかることの絶望感に襲われました。初期症状が出てから3日間は、まさに地獄でした。空腹を感じても、お粥一粒、水一滴を飲み込むのにも決死の覚悟が必要でした。喉を通過する瞬間の刺激で涙が止まらず、痛みから逃れるために洗面器に唾液を吐き出し続けるという、惨めな時間を過ごしました。市販の痛み止めを飲もうにも、その錠剤を飲み込むこと自体が苦行であり、結局、医療機関で処方された座薬に頼ることになりました。大人のヘルパンギーナが子供と違うのは、この「絶望的なまでの痛みの持続」です。子供は数日で元気になることが多いですが、私の場合は熱が下がった後も喉の潰瘍が治らず、普通の食事ができるようになるまでに1週間以上を要しました。職場には「ただの夏風邪です」と報告していましたが、実際には10日間も有給休暇を消化する羽目になり、その後の業務調整にも苦労しました。この体験から得た教訓は、子供の病気を甘く見てはいけないということです。看病の際にマスクをしていたつもりでしたが、娘のよだれが付いたおもちゃやタオルの扱いに、どこか油断があったのかもしれません。あの燃えるような喉の痛みと、40度の熱で天井が回る感覚は、今思い出しても背筋が凍ります。初期症状である「喉のちりつき」を見逃さず、すぐにでも寝込んで体力を温存すべきだったと後悔しています。皆さんも、夏場に突然の高熱と喉の痛みを感じたら、迷わずヘルパンギーナを疑ってください。それは、大人のプライドを木端微塵にするほどの破壊力を持ったウイルスなのです。
子供からもらったヘルパンギーナの初期症状と私の壮絶な闘病記