子供の発熱とかゆみのない発疹と聞けば、多くの場合は突発性発疹など、数日で自然に回復するウイルス性疾患を思い浮かべるでしょう。実際にそのケースが大多数であり、過度な心配は不要なことが多いのは事実です。しかし、保護者としては、ごく稀に潜んでいる「注意すべき病気」の可能性についても、知識として持っておくことが非常に重要です。それは、万が一の際に迅速かつ適切な行動をとるための、いわばお守りのような知識です。まず、溶連菌感染症です。一般的にはのどの痛みや発熱が主症状ですが、体に細かい赤い発疹が広がることがあります。この発疹はかゆみを伴わないこともあり、見過ごされがちです。溶連菌は細菌感染症であり、自然治癒を待つのではなく、抗生物質による治療が必須です。治療が不完全だと、数週間後に心臓や腎臓に重い合併症を引き起こす危険性があるため、診断された場合は医師の指示通りに最後まで薬を飲みきることが何よりも大切になります。次に、伝染性紅斑、いわゆるりんご病も知っておくべきです。頬が赤くなるのが特徴ですが、その前に手足にレース状の発疹が出ることがあります。これもかゆみは少ないことが多いです。りんご病自体は子供にとっては軽症で済むことが多いのですが、妊婦さんが感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があるため、家庭内や集団生活の場で感染が疑われる場合は、周囲への配慮が必要となります。そして、最も警戒すべき疾患が川崎病です。これは原因不明の血管の炎症が起こる病気で、五日以上続く高熱、目の充血、唇の赤み、手足の腫れなどとともに、体に不定形の発疹が現れます。発疹にかゆみはないことが多く、これらの症状が全て揃わない非典型例も存在します。川崎病の最大の問題は、心臓に栄養を送る冠動脈に瘤(こぶ)ができてしまう合併症のリスクがあることです。早期診断と早期治療が予後を大きく左右するため、高熱が続き、子供がぐったりして活気がないなど、普段と明らかに様子が違うと感じたら、迷わず医療機関を受診してください。ほとんどは心配のない発疹ですが、これらの病気の存在を頭の片隅に置いておくことが、我が子を守ることに繋がるのです。
注意したい子供の熱とかゆみなしの発疹