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2025年12月
  • 「腎臓内科」と「泌尿器科」、その役割の明確な違い

    知識

    腎臓の病気を扱う診療科として、主に「腎臓内科」と「泌尿器科」がありますが、この二つの科は、同じ腎臓という臓器を扱いながらも、その専門領域とアプローチ方法には明確な違いがあります。この違いを理解しておくことは、自分の症状に合った適切な医療を、スムーズに受けるために非常に重要です。まず、「腎臓内科」は、その名の通り「内科」の一分野です。主な役割は、腎臓そのものの「機能」を守り、内科的な疾患を管理することです。腎臓の最も重要な働きは、血液をフィルターのようにろ過して、体内の老廃物や余分な水分、塩分を尿として排出することです。腎臓内科医は、このフィルター機能がうまく働かなくなる病気、例えば、慢性腎臓病(CKD)、糖尿病性腎症、高血圧による腎硬化症、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群といった疾患の診断と治療を専門とします。治療のアプローチは、主に食事療法や生活習慣の指導、血圧管理、薬物療法といった「内科的治療」が中心となります。健康診断の尿検査や血液検査で異常を指摘された場合や、原因不明のむくみ、持病である糖尿病や高血圧が腎臓に影響していないか心配な場合などは、腎臓内科が専門です。一方、「泌尿器科」は、「外科」系に属する診療科です。主な役割は、腎臓で作られた尿が、尿管、膀胱、尿道という「尿の通り道(尿路)」を通って体外に排出されるまでのプロセスに関わる、形態的な異常や疾患を扱うことです。具体的には、尿路結石、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、前立腺肥大症、膀胱炎、尿路感染症といった疾患の診断と治療を専門とします。治療のアプローチは、薬物療法だけでなく、内視鏡手術や腹腔鏡手術、ロボット支援手術といった「外科的治療」も積極的に行います。血尿(特に目に見える赤い尿)、排尿時の痛み、頻尿、腰や背中の痛みといった症状がある場合は、泌尿器科が専門です。簡単に言えば、「腎臓のフィルター機能の異常」を薬や生活習慣で治すのが腎臓内科、「尿の通り道の構造的な問題」を手術なども含めて治すのが泌尿器科、とイメージすると分かりやすいでしょう。もちろん、両科は密接に連携しており、必要に応じて互いに紹介し合うことも多々あります。