全国の病院・クリニック情報検索

2025年9月
  • 私の長引く咳はRSウイルスが原因だった

    医療

    二週間以上、私の体から咳が消えませんでした。始まりは、よくある風邪のような症状でした。喉のイガイガとした痛みと、少しの鼻水。熱も三十七度台前半で、仕事も休むほどではない。私は市販の風邪薬を飲み、普段通りに生活していました。しかし、他の症状が治まっても、咳だけがしつこく残ったのです。それは痰の絡む湿った咳で、一度出始めると、まるで肺の底から絞り出すようにゴホゴホと続き、しまいには胸が痛くなるほどでした。特に夜中や明け方にひどくなり、咳き込んで目が覚めてしまうこともしばしば。日中も、会議中や電車の中といった静かな場所で突然咳き込んでしまい、周りの視線を気にしていました。さすがにおかしいと思い、近所の呼吸器内科を受診することに。医師に症状の経過を詳しく話すと、「最近、お子さんやご家族に風邪症状の方はいませんでしたか」と聞かれました。そういえば、一ヶ月ほど前に三歳の娘が熱を出し、ひどい咳をしていたことを思い出しました。小児科では「風邪でしょう」と言われていましたが、今思えば、あれが原因だったのかもしれません。医師は「大人の長引く咳の原因として、RSウイルスや百日咳などが考えられます」と言い、検査をすることに。結果、私はRSウイルスに感染していることが判明したのです。「え、RSって子供の病気じゃないんですか」。思わずそう口にすると、医師は「大人は風邪症状で済むことが多いですが、咳だけがこのように長く続くことは珍しくないんですよ」と教えてくれました。特効薬はないため、咳を和らげる薬を処方してもらい、あとは自然に治るのを待つしかありません。まさか自分が、と驚きましたが、原因が分かったことで少しだけ気持ちが楽になりました。子供の風邪は、大人にもうつる。その当たり前の事実を、身をもって痛感した出来事でした。

  • 高齢の親を持つ世代が知るべきRSウイルスの危険

    医療

    働き盛りの四十代、五十代にとって、RSウイルスは「自分がかかっても大したことはない病気」かもしれません。しかし、その認識は、自分の親世代にとっては通用しない可能性があります。高齢者、特に六十五歳以上の方や、心臓や肺に持病を持つ方にとって、RSウイルスはインフルエンザウイルスにも匹敵するほど危険な病原体となり得るのです。健常な成人がRSウイルスに感染すると、多くは鼻風邪程度の症状で済みます。しかし、加齢と共に免疫機能は少しずつ低下していきます。若い頃なら簡単に撃退できたはずのウイルスが、高齢者の体の中では容易に増殖し、気管支炎や肺炎といった下気道感染症を引き起こすことがあります。特に、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息、慢性心不全といった基礎疾患があると、RSウイルス感染をきっかけに持病が急激に悪化し、入院や集中治療が必要となるリスクが格段に高まります。実際に、米国では毎年多くの高齢者がRSウイルスに関連した肺炎で入院し、死亡するケースも報告されています。問題なのは、高齢者のRSウイルス感染症が見過ごされやすいことです。症状が非典型的であったり、いつもの風邪や持病の悪化と区別がつかなかったりするため、適切な診断が遅れがちになります。冬場に高齢の親が風邪をこじらせ、咳や痰がひどくなり、呼吸が苦しそうにしている場合、それは単なる風邪ではなく、RSウイルスによる肺炎かもしれません。私たち子供世代ができることは、まず、このリスクを正しく認識することです。そして、自分たちが感染源にならないよう、日頃から手洗いや咳エチケットを徹底すること。もし自分が風邪をひいたら、高齢の親との接触は極力避けるという配慮が必要です。親の体調に異変を感じたら、早めに医療機関へ連れて行くことも重要です。大人のRSウイルスは、自分だけの問題ではなく、大切な家族の健康をも左右する問題なのだと心に留めておく必要があります。

  • まとめ。ひどい脇汗は治療できる

    知識

    長年にわたりあなたを苦しめてきたひどい脇汗の悩み。それは決して「体質だから仕方ない」と諦めなければならないものではありません。現代の医療にはそのつらい症状を安全にそして効果的にコントロールするための数多くの選択肢が存在します。重要なのはあなたがその悩みと真剣に向き合い解決のための正しい一歩を踏み出すことです。まず自分自身の状態を客観的に把握しましょう。日常生活にどれほどの支障が出ているかそしてそれが原発性腋窩多汗症という治療可能な病気の基準に当てはまる可能性があるかどうかをセルフチェックしてみてください。もし当てはまるようであればそれは医療の助けを求めるべき正当な理由となります。次に勇気を出して専門医の扉を叩いてください。皮膚科や形成外科はあなたの悩みを真摯に受け止め共感してくれる最も頼りになるパートナーです。医師との対話を通じて現在保険適用となっている塗り薬やボツリヌス療法から自費診療であるマイクロ波治療まであなた自身の症状の重症度やライフスタイルに最も合った治療法を一緒に見つけていくことができます。また日常生活の中でもできることはたくさんあります。制汗剤の正しい選び方と使い方をマスターし通気性の良い衣類を選びストレスと上手に付き合う。これらの地道なセルフケアの積み重ねも症状のコントロールに大きく貢献します。ひどい脇汗はあなたの価値を何一つ損なうものではありません。しかしその悩みがあなたの自信を奪い日々の生活の輝きを曇らせているのであればそこから解放される権利があなたにはあります。もう一人で悩む必要はありません。適切な治療と正しい知識を味方につけて汗の心配から解放された新しい自分を取り戻しましょう。

  • ストレスでまぶたが腫れた時の応急処置

    医療

    仕事の締め切りが迫り、緊張と疲労がピークに達した時、ふとまぶたに感じるゴロゴロとした違和感や、鏡に映るかすかな赤み。「また、ものもらいかもしれない」。そう感じた時、パニックにならずに適切な初期対応をすることが、症状を悪化させずに早期に回復させるための鍵となります。特にストレスを抱えている時は免疫力が低下しているため、いつも以上に慎重な対処が求められます。まず、絶対にやってはいけないのが「まぶたをこする、触る」ことです。違和感があると無意識に触ってしまいがちですが、手に付着した細菌が症状を悪化させる最大の原因になります。気になってもぐっと我慢し、清潔を保つことを第一に考えましょう。女性の場合、アイメイクはすぐに優しくクレンジングで落とし、症状が治まるまではアイラインやマスカラ、アイシャドウの使用は完全に中止してください。メイク道具に付着した細菌が再感染の原因になることもあります。また、コンタクトレンズの使用もすぐにやめ、メガネに切り替えましょう。レンズがまぶたの裏側を刺激したり、目の表面の酸素供給を妨げたりして、回復を遅らせる可能性があります。次に、体を休ませることが何よりの薬です。ストレスや疲労が引き金になっているのですから、その根本原因にアプローチしなければなりません。その日はできるだけ早く仕事を切り上げ、十分な睡眠時間を確保しましょう。体を温め、リラックスできる環境を整えることが、免疫力の回復を助けます。霰粒腫の初期段階で、まだ痛みがなく、しこりを感じる程度であれば、蒸しタオルなどでまぶたを温める「温罨法(おんあんぽう)」が有効な場合があります。マイボーム腺に詰まった脂を溶かし、排出を促す効果が期待できます。ただし、麦粒腫のように赤みや痛みが強い場合は、温めることで炎症が悪化する可能性もあるため注意が必要です。これらのセルフケアを二、三日続けても症状が改善しない、あるいは痛みが強くなったり、腫れがひどくなったりした場合は、迷わず眼科を受診してください。自己判断で市販薬を使い続けるよりも、専門医の的確な診断と処方を受けることが、結果的に最も早い回復への近道となります。

  • ある患者のマイコプラズマ肺炎との闘病記録

    医療

    都内のデザイン会社に勤めるAさん(28歳、女性)が、体に異変を感じ始めたのは、大規模なプロジェクトが一段落した直後のことだった。疲れからくる風邪だろうと、彼女は軽く考えていた。最初の症状は微熱と全身の倦怠感。しかし、数日後から乾いた咳が出始め、それが彼女の長い闘いの始まりとなった。Aさんの咳は日に日にひどくなり、特に夜間の咳き込みは彼女の睡眠を完全に奪った。日中も、クライアントとの打ち合わせ中に突然咳の発作に見舞われ、話が中断してしまうことも一度や二度ではなかった。周囲に迷惑をかけているという罪悪感と、一向に治らない症状への焦りから、彼女は精神的にも追い詰められていった。発症から二週間後、同僚に強く勧められてようやく呼吸器内科を受診。詳細な問診と検査の結果、「マイコプラズマ肺炎」と診断された。原因が特定されたことに安堵する一方で、Aさんは医師から衝撃的な事実を告げられる。近年、特に若年層で、最初に処方されることが多いマクロライド系の抗菌薬が効かない「マクロライド耐性マイコプラズマ」が増えているというのだ。Aさんにはまずマクロライド系の抗菌薬が処方されたが、医師の懸念通り、5日間服用しても症状はほとんど改善しなかった。咳は依然として激しく、絶望的な気持ちになったという。再受診し、状況を伝えると、医師は耐性菌の可能性が高いと判断。次に、テトラサイクリン系という別の系統の抗菌薬に変更された。この薬がAさんには劇的に効いた。服用を始めて2日目には、夜の咳が明らかに減り、久しぶりに朝まで眠ることができた。徐々に咳の頻度は減り、一週間後には日常生活に支障がないレベルまで回復した。Aさんは語る。「まさか薬が効かないことがあるなんて、夢にも思いませんでした。最初の薬で治らなかった時は、本当にこのまま咳が止まらないんじゃないかと怖かったです。医師の的確な判断と、薬の変更がなければ、もっと長く苦しんでいたと思います。たかが咳と侮らず、症状が長引くときは専門医に相談すること、そして処方された薬で改善しない場合も、正直に医師に伝えることがいかに重要か身をもって知りました」。Aさんのケースは、現代のマイコプラズマ肺炎治療が直面する「耐性菌」という問題を浮き彫りにする貴重な事例である。

  • かかとの痛みとアキレス腱の密接な関係

    医療

    かかとの痛み、特に足底腱膜炎を語る上で、避けて通れないのが「アキレス腱」の存在です。アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨(踵骨)をつなぐ、体内で最も強靭な腱です。一方、足底腱膜はかかとの骨の底面から足指の付け根へとつながっています。このように、アキレス腱と足底腱膜は、かかとの骨を介して解剖学的に連続した構造体と見なすことができます。両者は互いに連携し、歩行や走行時の複雑な動きを制御しています。そのため、アキレス腱や、その上部にあるふくらはぎの筋肉が硬くなると、その影響は直接的に足底腱膜に及ぶのです。具体的には、ふくらはぎの筋肉が硬く、柔軟性が失われると、足首の背屈(つま先をすねの方へ向ける動き)が制限されます。歩行中、地面を蹴り出す際には、この足首の背屈がスムーズに行われることが重要です。しかし、この動きが硬さによって妨げられると、体は無意識のうちに代償動作として、土踏まずのアーチを過剰に潰す(プロネーション)ことで補おうとします。この土踏まずの過剰な沈み込みが、足底腱膜を強力に引っ張り、微細な断裂や炎症を引き起こす大きな原因となるのです。つまり、かかとの痛みの根本原因が、実はふくらはぎの硬さにある、というケースは非常に多いのです。このことから、足底腱膜炎の治療や予防においては、痛むかかと部分だけをマッサージするのではなく、ふくらはぎからアキレス腱にかけてのストレッチが不可欠とされています。壁を使ったアキレス腱伸ばしや、階段の段差を利用したストレッチなどを日常的に行い、ふくらはぎの柔軟性を保つことが、足底腱膜にかかる無用な張力を解放し、かかとの痛みを根本から改善するための鍵となります。アキレス腱炎と足底腱膜炎は、発生する場所は違えど、その根底には共通の原因が潜んでいることが多く、両者は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。

  • 成長期の子供に見られるかかとの痛み

    医療

    大人のかかとの痛みの多くが足底腱膜炎であるのに対し、特に10歳前後の活発な男の子に見られるかかとの痛みには、特有の原因が考えられます。それは「シーバー病(踵骨骨端症)」と呼ばれる成長期特有の疾患です。大人の骨と違い、成長期の子供のかかとの骨(踵骨)の後方には、骨が成長するための柔らかい軟骨部分「骨端線」が存在します。この部分は、まだ完全に固まっておらず、構造的に弱いのが特徴です。サッカーや野球、バスケットボールなど、走ったりジャンプしたりする動作を繰り返すスポーツに熱中している子供に多く発症します。これらの動作によって、かかとには地面からの繰り返しの衝撃が加わります。さらに、ふくらはぎの筋肉が収縮することで、アキレス腱を介してかかとの骨が強く引っ張られます。この「衝撃」と「牽引力」という二つのストレスが、まだ弱い骨端線とその周辺の軟骨に集中することで、炎症や微小な剥離が起こり、痛みを引き起こすのがシーバー病のメカニズムです。症状としては、運動中や運動後にかかとの後方や側面に痛みや腫れが現れます。押すと痛がる(圧痛)のも特徴的な所見です。大人の足底腱膜炎が朝の一歩目に強い痛みが出やすいのに対し、シーバー病は主に運動に関連して痛みが強くなる傾向があります。多くの場合は、成長が進み、骨端線が閉鎖する(骨が固まる)ことで自然に治癒していく一過性の疾患ですが、痛みを我慢して無理に運動を続けると、症状が悪化し、長期的にスポーツ活動を休止せざるを得なくなることもあります。したがって、「成長痛だから大丈夫」と安易に考えず、お子さんがかかとの痛みを訴えた際には、まずはスポーツ活動を休ませて安静を保つことが大切です。そして、早めに整形外科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。治療は基本的に保存療法で、痛みが強い時期の安静、運動後のアイシング、ふくらはぎのストレッチ指導、衝撃吸収性の高いインソールの使用などが中心となります。適切な管理で乗り越えられる疾患であること、保護者の理解とサポートの重要性。

  • 日常生活でできる、ひどい脇汗のセルフケア

    生活

    ひどい脇汗の悩みは医療機関での治療や制汗剤の使用だけでなく日々の「生活習慣」を見直すことでもその症状をある程度コントロールすることが可能です。体の中からそして外からのアプローチを組み合わせることでより快適な毎日を目指しましょう。まず見直したいのが「食生活」です。特定の食べ物が直接多汗症の原因となるわけではありませんが発汗を促進しやすい食品があることは事実です。例えば唐辛子に含まれるカプサイシンなどの「香辛料」や熱い食べ物は交感神経を刺激し発汗を促します。また肉類や乳製品といった動物性の「タンパク質」や「脂質」は体内で分解される際に多くの熱を産生するため体温を上昇させ汗をかきやすくする傾向があります。これらの食品を完全に避ける必要はありませんが汗をかきたくない大切な場面の前には少し控えるといった工夫が有効です。次に重要なのが「衣類の選び方」です。汗ジミが目立たないという消極的な理由だけでなく汗をかいても快適に過ごすための積極的な衣類選びを心がけましょう。通気性や吸湿性に優れた綿や麻といった「天然素材」の下着やシャツを選ぶのが基本です。また最近では高い吸湿速乾性を持つ機能性素材のインナーも数多く販売されています。これらを上手に活用することで汗をかいても肌をサラサラの状態に保つことができます。そして脇の下に直接貼り付けるタイプの「汗脇パッド」は汗ジミを防ぐ物理的な対策として非常に有効です。最後に見過ごせないのが「ストレス管理」です。ひどい脇汗の原因の一つである精神性発汗は不安や緊張によって悪化します。ヨガや瞑想、深呼吸あるいは趣味に没頭する時間を作るなど自分なりのリラックス方法を見つけ交感神経の過剰な興奮を鎮めてあげることが汗のコントロールに繋がります。

  • マイコプラズマ感染症を家庭や職場で広げないために

    生活

    マイコプラズマ肺炎は、その感染力の強さと潜伏期間の長さから、気づかないうちに家庭や職場、学校といった集団内で感染を広げてしまうリスクが高い疾患です。自分自身と周囲の人々を感染から守るためには、日頃からの予防意識と、感染が疑われる際の適切な行動が不可欠となります。予防の基本は、あらゆる感染症対策と同様に「手洗い」と「咳エチケット」の徹底です。外出先から帰宅した際、食事の前、トイレの後などには、石鹸と流水で指の間や手首まで丁寧に洗いましょう。すぐに手が洗えない状況では、アルコールベースの手指消毒剤が有効です。また、感染の流行期や人混みではマスクを着用することが、飛沫の吸い込みを防ぐ上で効果的です。咳やくしゃみが出る場合は、周囲への飛散を防ぐため、マスクは必須と考えましょう。マスクがない緊急時には、ティッシュやハンカチ、あるいは腕の内側で口と鼻をしっかりと覆うことがマナーであり、感染拡大防止に繋がります。もし家庭内に感染者が出てしまった場合は、さらなる対策が必要です。可能であれば、感染者は個室で休み、他の家族との接触を最小限に抑えます。看病は特定の人が担当し、部屋に入る際は必ずマスクを着用し、出た後には入念な手洗いを行いましょう。感染者が使用したタオルや寝具、食器類は、家族と共用しないようにします。食器は通常の食器用洗剤で、リネン類は洗濯機で洗えば十分ですが、分けて洗うとより安心です。ドアノブ、テーブル、電気のスイッチ、リモコンなど、皆が頻繁に触れる場所は、市販のアルコール除菌スプレーや次亜塩素酸ナトリウム溶液(家庭用漂白剤を薄めたもの)でこまめに拭き掃除をすると、接触感染のリスクを減らすことができます。そして、室内の空気が滞らないよう、一日に数回、窓を開けて十分な換気を行うことも忘れてはなりません。職場や学校においても、体調不良を感じたら無理して出勤・登校せず、自宅で休養し、必要であれば医療機関を受診するというルールを組織全体で共有することが、集団感染を防ぐ上で最も重要です。一人ひとりの小さな心がけが、大きな感染の波を防ぐための防波堤となるのです。

  • 大人が手足口病にかかったら仕事はどうする

    生活

    大人が手足口病に感染した場合、日常生活、特に仕事への影響は深刻な問題となります。結論から言うと、症状が出ている間は仕事を休むべきです。手足口病は法律で定められた出席停止期間などはありませんが、感染を広げるリスクと、何より本人の体調を考えれば、出勤は現実的ではありません。まず、三十九度を超えるような高熱や強い倦怠感がある状態で、正常な業務を行うことは不可能です。無理して出勤しても、仕事の効率は著しく低下し、かえって周囲に迷惑をかけることになりかねません。さらに、喉の激痛は会話を困難にします。接客業や電話応対、会議など、声を出すことが求められる仕事では、業務に大きな支障が出ます。また、手のひらに痛みを伴う発疹が出ている場合、パソコンのタイピングやペンを持つことさえ苦痛になります。足の裏の発疹は歩行を困難にし、通勤自体が一苦労となるでしょう。感染症としての観点からも、休むことが推奨されます。ウイルスは回復後も、喉からは一週間から二週間、便からは三週間から五週間という長期間にわたって排出され続けます。特に症状が強く出ている急性期は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染のリスクが最も高い時期です。職場での集団感染を防ぐためにも、責任ある社会人として自宅療養に専念すべきです。では、いつから出勤を再開できるのでしょうか。明確な基準はありませんが、一般的には、解熱し、口の中の痛みが軽快して普段通りの食事が摂れるようになり、全身状態が回復してから、というのが一つの目安になります。多くの場合は、発症から一週間から十日程度の休養が必要となるでしょう。職場には、手足口病と診断されたこと、感染症であること、そして症状が重く業務が困難であることを正直に伝え、理解を得ることが大切です。