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2025年8月
  • 頻尿の原因を探る「排尿日誌」のつけ方

    生活

    頻尿の症状で泌尿器科などの医療機関を受診すると、多くの場合医師から「排尿日誌(排尿記録)をつけてみてください」と勧められます。この排尿日誌は頻尿の原因を客観的に評価し診断を下す上で非常に重要な情報源となる、いわば「おしっこの記録帳」です。面倒に感じるかもしれませんが正確な診断と効果的な治療のためにぜひ取り組んでみてください。排尿日誌の記録は通常2~3日間(48~72時間)にわたって行います。記録する項目は主に以下の4つです。①時刻: これは全ての行動の基本となります。24時間の流れが分かるように正確に記録しましょう。②飲んだものの種類と量: 水、お茶、コーヒー、ジュース、アルコールなど口にした飲み物の「種類」とその「量(ml)」を飲んだ時刻と共に記録します。スープや味噌汁なども水分としてカウントします。計量カップなどを使うとより正確に記録できます。③排尿した時刻と尿量: トイレに行った「時刻」とその時に出た「尿の量(ml)」を記録します。尿量を測るためには目盛りのついた専用の計量カップ(尿器)が必要です。薬局やインターネットで購入できます。④尿意切迫感や尿漏れの有無: トイレに行った時の状況をメモとして記録します。例えば「急に我慢できない尿意があって慌ててトイレに行った」「くしゃみをした瞬間に少し漏れてしまった」など尿意の強さや尿漏れの状況を具体的に書き留めます。この排尿日誌を数日間記録することで様々なことが見えてきます。例えば1日の総水分摂取量と総尿量を比較することで水分を摂りすぎていないかが分かります。また昼間の尿量と夜間の尿量を比較すれば夜間頻尿の原因が夜間に尿が作られすぎる「夜間多尿」なのかどうかが判断できます。さらに一回あたりの排尿量を見ることで膀胱にどのくらいの尿を溜められるか(膀胱容量)を推測することができます。一回の尿量が常に100ml以下と少ない場合は過活動膀胱など膀胱の蓄尿機能に問題がある可能性が高くなります。この客観的なデータに基づいて医師はあなたの頻尿のタイプを診断し最適な治療法(生活指導、行動療法、薬物療法など)を提案してくれるのです。

  • 止まらない咳の時に家庭でできること完全ガイド

    生活

    マイコプラズマ肺炎と診断された、あるいはその疑いがある時、医師から処方された薬を服用することはもちろんですが、症状を和らげ、回復を早めるためには家庭でのセルフケアが極めて重要になります。苦しい咳の症状を少しでも楽にするための具体的な方法をご紹介します。まず、何よりも優先すべきは「安静」です。咳は非常に体力を消耗します。特に夜間の激しい咳は睡眠を妨げ、免疫力を低下させる原因となります。仕事や家事は無理をせず、できるだけ体を横にして休ませましょう。体力を温存することが、ウイルスと闘うための最大の武器となります。次に重要なのが「水分補給」と「加湿」です。咳が続くと喉の粘膜が乾燥し、わずかな刺激にも過敏に反応してさらに咳を誘発します。これを防ぐため、水や麦茶、スポーツドリンクなどを常温で、こまめに摂取し、喉を常に潤しておくことが大切です。また、空気が乾燥していると咳は悪化します。加湿器を使用し、室内の湿度を50~60%に保つように心がけましょう。加湿器がない場合は、洗濯物を室内に干したり、お風呂場に湯気を充満させてその空気を吸い込んだりするのも効果的です。食事は、喉への刺激が少なく、消化の良いものを選びましょう。おかゆや雑炊、具材を細かく煮込んだスープ、うどん、ゼリーなどがおすすめです。香辛料を多く使った辛いもの、酸味の強い柑橘類、極端に熱いものや冷たいものは、咳を誘発する可能性があるので回復するまでは避けた方が無難です。また、マイコプラズマは飛沫で感染するため、家庭内での感染拡大を防ぐ配慮も忘れてはいけません。咳やくしゃみをする際は必ずマスクを着用し、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆う「咳エチケット」を徹底しましょう。看病する家族もマスクを着用し、こまめな手洗い、アルコールでの手指消毒を心がけてください。感染者が使った食器やタオルは分けて洗い、部屋の換気も定期的に行いましょう。これらの地道なケアの積み重ねが、つらい症状の緩和と早期回復につながります。

  • 風邪で皮膚が痛い、その意外な原因とは

    医療

    風邪をひくと、多くの人が、喉の痛みや、鼻水、咳、そして発熱といった、典型的な症状を経験します。しかし、中には、「熱はないのに、なんだか皮膚の表面がピリピリする」「服が擦れるだけで、肌がヒリヒリと痛い」といった、一見すると風邪とは、直接関係なさそうな、皮膚の痛みを訴える人がいます。この、風邪に伴う、不思議な皮膚の痛みは、一体、何が原因なのでしょうか。その背景には、ウイルスと戦う、私たちの体の、複雑な「免疫反応」が、深く関わっています。風邪のウイルスが体内に侵入すると、免疫システムは、ウイルスを撃退するために、「サイトカイン」と呼ばれる、様々な情報伝達物質を放出します。このサイトカインは、白血球などの免疫細胞を、感染の現場に呼び寄せたり、体温を上げて、ウイルスの増殖を抑えたり(発熱)といった、重要な役割を果たします。しかし、このサイトカインの一部(特に、インターフェロンなど)が、同時に、私たちの「神経」を、過敏にさせてしまうことがあるのです。これにより、普段は何とも感じないような、衣服の摩擦や、軽い接触といった、ごくわずかな刺激でも、脳がそれを「痛み」として、認識してしまうことがあります。これが、風邪の時に、皮膚がピリピリ、ヒリヒリと感じる、主なメカニズムの一つ、「アロディニア(異痛症)」と呼ばれる状態です。また、高熱が出ている場合は、それ自体が、皮膚の知覚過敏を引き起こすこともあります。さらに、風邪の原因となっているウイルスが、インフルエンザウイルスのように、全身症状を引き起こすタイプのものであれば、筋肉痛や関節痛と同様に、神経痛として、皮膚に痛みが現れることもあります。ほとんどの場合、この皮膚の痛みは、風邪の回復と共に、自然に消えていきますが、中には、帯状疱疹などの、別の病気が隠れている可能性も、ゼロではありません。

  • 医師に聞く大人の手足口病のリスクと注意点

    医療

    今回は感染症を専門とする医師に、大人の手足口病について詳しくお話を伺いました。先生、大人が手足口病にかかると重症化しやすいというのは本当でしょうか。はい、その通りです。子供の頃に手足口病の原因となる様々なウイルスに感染して免疫を獲得する機会がなかった大人が、初めて感染すると、体が過剰に反応してしまい、症状が強く出やすい傾向があります。特に、高熱や口内炎の激しい痛みは、多くの大人の患者さんに見られる特徴です。単なる夏風邪と侮っていると、その辛さに驚くことになります。大人がかかる上で、特に注意すべき合併症はありますか。手足口病はほとんどの場合、自然に回復する病気ですが、ごく稀に重篤な合併症を引き起こすことがあります。代表的なものが、無菌性髄膜炎です。これは、ウイルスが脳を包む髄膜にまで達して炎症を起こす病気で、激しい頭痛、繰り返す嘔吐、首の後ろが硬直するといった症状が現れます。また、さらに稀ですが、急性脳炎や心筋炎といった、命に関わる状態に陥ることもあります。高熱が続く、意識がもうろうとする、何度も吐く、頭を激しく痛がる、ぐったりして動かない、といった症状が見られた場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急医療機関を受診してください。これらのサインを見逃さないことが非常に重要です。他の病気との見分け方はありますか。高熱と喉の痛みから、最初はヘルパンギーナや溶連菌感染症と間違われることがあります。ヘルパンギーナも同じ夏風邪の一種ですが、発疹は主に口の中だけで、手足には出ません。溶連菌の場合は、喉の痛みに加えて舌がイチゴのようにブツブツになる「いちご舌」が見られることがあり、抗菌薬による治療が必要です。最終的な診断は医師が行いますが、手足にも発疹が出てきた場合は、手足口病の可能性が非常に高いと言えるでしょう。最後に、読者へのメッセージをお願いします。お子さんが手足口病になったら、自分も感染する可能性があるという意識を持ち、手洗いを徹底してください。そして、もし感染してしまったら、特効薬はないので、とにかく休養と水分補給に専念することです。その辛さは永遠には続きません。必ず回復しますので、焦らずに乗り切ってください。

  • かかとを守るための正しい靴選びとインソールの力

    知識

    かかとの痛みに悩む人にとって、靴は単なるファッションアイテムではなく、症状を緩和し、悪化を防ぐための重要な治療器具とも言えます。毎日履くものだからこそ、その選択が足の健康に与える影響は計り知れません。間違った靴選びは、無意識のうちにかかとへ過剰な負担をかけ続け、痛みを長引かせる最大の原因の一つとなり得ます。では、どのような靴を選べば良いのでしょうか。まず最も重視すべき点は、かかと周りをしっかりと固定できる、硬くて丈夫なヒールカウンターを備えていることです。かかとが靴の中で左右にぶれたり、浮いたりすると、歩行が不安定になり、足底腱膜に余計なねじれのストレスがかかります。次に、土踏まずのアーチを適切にサポートしてくれる構造であることも重要です。扁平足気味の人は内側のアーチを、逆にハイアーチの人は中央から外側のアーチを支えるような設計の靴やインソールを選ぶことで、足底にかかる圧力を分散させることができます。また、靴底にはある程度の厚みとクッション性が必要です。特にアスファルトのような硬い地面を歩くことが多い場合、衝撃吸収性の高い素材が使われているスニーカーなどが適しています。ただし、単に柔らかすぎるだけの靴は、かえって足元が不安定になるため避けるべきです。つま先部分が少し反り上がっている「トゥスプリング」のある靴は、歩行時の足の蹴り出しをスムーズにし、足底腱膜への負担を軽減する効果が期待できます。サイズ選びも極めて重要で、大きすぎる靴は靴の中で足が動いてしまい、逆効果です。自分の足に合った適切なサイズの靴を選び、靴紐をしっかりと締めて履くことが基本です。これらの条件を満たす靴が見つからない場合や、より高い効果を求める場合には、市販の機能性インソール(足底装具)や、専門家が足の形に合わせて作成するオーダーメイドインソールの活用が非常に有効です。インソールは、足のアーチを理想的な形に補正し、かかとへの衝撃を和らげ、足裏全体の圧力バランスを整えることで、痛みの根本的な原因にアプローチすることができます。

  • 市販の制汗剤、効果的な選び方と使い方

    医療

    病院での専門的な治療を考える前にまずは自分でできる対策として、市販の「制汗剤・デオドラント剤」を上手に活用したいと考える人も多いでしょう。ドラッグストアには多種多様な製品が並んでいますが、その効果を最大限に引き出すためには自分の汗のレベルや悩みに合った製品を正しく選びそして正しく使うことが非常に重要です。まず「選び方」のポイントはその製品の「有効成分」に注目することです。脇汗を根本的に「抑えたい」のであれば「制汗成分」が含まれている製品を選ぶ必要があります。代表的な制汗成分が「クロルヒドロキシアルミニウム」や「焼ミョウバン」です。これらの成分は汗腺の出口にフタのようなものを作って汗そのものが出てくるのを物理的にブロックする働きがあります。一方汗の量はそれほどでもないけれど「ニオイ」が気になるという場合は「殺菌成分」や「消臭成分」が配合された製品が適しています。殺菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)はニオイの原因となる皮膚の常在菌の増殖を抑え、消臭成分(緑茶エキスなど)は発生してしまったニオイを中和する働きがあります。次に最も重要なのが「使い方」です。制汗剤の効果を最大限に引き出すための最大のコツは「汗をかく前に清潔で乾いた肌に塗る」ことです。多くの人が汗をかいた後慌てて日中にスプレーなどをしていますがこれではあまり効果は期待できません。汗や皮脂で有効成分が流されてしまい肌にしっかりと密着しないからです。最も効果的なタイミングは「夜お風呂上がりの清潔でよく乾いた脇に塗る」ことです。睡眠中は汗腺の活動が比較的穏やかであるため有効成分が汗腺の出口にしっかりと浸透しフタを形成することができます。そして翌朝もう一度軽く塗り直すと日中の活動時間中高い制汗効果が持続します。製品のタイプ(ロールオン、スティック、クリームなど)は自分の肌質や使いやすさで選ぶと良いでしょう。

  • 日中の頻尿、8回以上が一つの目安

    知識

    日中のトイレの回数がどれくらいからが「頻尿」と言えるのか。前述の通り明確な定義はありませんが、多くの泌尿器科の専門医がひとつの目安として用いているのが「1日の排尿回数が8回以上」という基準です。これはあくまで一般的な目安であり、水分を1日に2リットル以上飲む習慣がある人や利尿作用のあるコーヒーやお茶を頻繁に飲む人であれば8回を超えてもそれは生理的な反応であり異常ではありません。重要なのは「以前と比べて明らかに回数が増えたか」「回数が増えたことで日常生活に不便や苦痛を感じているか」という自分自身の感覚です。例えば「会議中にトイレに行きたくならないか常に心配している」「バスや電車に乗るのが不安になった」「外出先ではいつもトイレの場所を探している」。このようなQOL(生活の質)の低下を伴っているかどうかが治療を検討すべき頻尿であるかどうかの大きな判断材料となります。日中の頻尿を引き起こす代表的な病気の一つが「過活動膀- chí(OAB)」です。これは膀胱にまだ尿が十分に溜まっていないにもかかわらず膀胱が意思とは関係なく勝手に収縮してしまうことで、突然我慢できないほどの強い尿意(尿意切迫感)に襲われる病気です。その結果何度もトイレに駆け込むことになります。また男性の場合は加齢に伴う「前立腺肥大症」が頻尿の大きな原因となります。肥大した前立腺が尿道を圧迫し膀胱を刺激するため残尿感と共に頻尿が生じます。その他女性の場合は骨盤底筋の緩みや膀胱炎、あるいは子宮筋腫などの婦人科疾患が膀胱を圧迫して頻尿の原因となることもあります。日中のトイレの回数が8回を超えそれがあなたの生活の足かせになっていると感じるなら、それは年のせいだと諦める必要のない治療可能な症状かもしれません。一度泌尿器科や婦人科に相談してみることをお勧めします。

  • 脇汗の悩みと精神的なストレス

    医療

    ひどい脇汗がもたらす苦しみは単に「汗が出て服が濡れる」という物理的な不快感だけにとどまりません。むしろそれ以上に深刻なのが他人の視線を過剰に意識してしまうことから生まれる「精神的なストレス」や「コンプレックス」です。この見えない心の負担こそが多汗症に悩む人々を最も深くそして長く苦しめているのかもしれません。グレーや水色といった汗ジミが目立ちやすい色の服は選ぶことさえできない。夏場でもカーディガンやジャケットを手放せず本当は着たいおしゃれな服を我慢している。会議でのプレゼンテーションや好きな人とのデートといった大切な場面で「汗ジミができていないか」ということばかりが気になり本来集中すべきことに集中できない。腕を上げるのが怖くて電車やバスのつり革が持てない。友人との距離が近くなるのが不安で人付き合いが億劫になってしまう。これらは脇汗に悩む多くの人が日常的に経験している切実な悩みです。そして事態をさらに悪化させるのが「汗をかいていることを意識すればするほどさらに汗が出てしまう」という精神性発汗の負のスパイラルです。「汗をかいちゃダメだ」という強いプレッシャーや不安感が交感神経を刺激し結果的に汗の分泌をさらに促進させてしまうのです。この悪循環は自分の意思だけではなかなか断ち切ることができません。この悩みから抜け出すための第一歩は「これは自分の性格や努力不足のせいではない。治療が可能な医学的なコンディションなのだ」と正しく認識することです。そしてその悩みを一人で抱え込まず専門家である医師に打ち明ける勇気を持つことです。医療機関を受診し適切な治療を受けることで汗そのものをコントロールできるようになればそれは絶大な自信に繋がります。「汗の心配をしなくても良い」という心の解放感はあなたの生活の質を劇的に向上させこれまで諦めていた多くのことに前向きに挑戦するきっかけを与えてくれるはずです。

  • 朝の一歩目に潜む足底腱膜炎の真実

    医療

    朝、目覚めてベッドから降り、最初の一歩を踏み出した瞬間に踵へ走る、ガラス片を踏んだかのような鋭い痛み。しばらく歩き続けると不思議と痛みは和らいでいくものの、また長時間座った後や車から降りる際には同じ痛みがぶり返す。これは、かかとの痛みを訴える人の中でも非常に多く見られる「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」の典型的な症状です。足の裏には、踵の骨から足の指の付け根に向かって扇状に広がる、強靭な繊維状の膜「足底腱膜」があります。この組織は、私たちが歩いたり走ったりする際に地面から受ける衝撃を吸収するクッションの役割と、土踏まずのアーチ構造をハンモックのように支える重要な役目を担っています。しかし、この足底腱膜に繰り返し大きな負担がかかると、膜に微細な断裂や炎症が生じ、痛みを引き起こすのです。なぜ特に朝の起床時に痛みが強いのかというと、睡眠中は足首が伸びた状態(底屈位)になり、足底腱膜が縮んで硬くなっているためです。その硬直した状態でいきなり体重をかけることで、強く引き伸ばされて激痛が走るのです。日中に活動していると、足底腱膜が少しずつほぐれて痛みが軽減しますが、根本的な炎症が治ったわけではありません。原因としては、長時間の立ち仕事、急なランニングやジャンプといったスポーツ活動、体重の増加、クッション性の低い靴の着用、さらには加齢による組織の柔軟性の低下などが挙げられます。また、扁平足やハイアーチ(甲高)といった足の構造的な特徴も、足底腱膜への負担を増大させる一因となります。この痛みを単なる疲れと軽視して放置すると、症状が慢性化し、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、痛みをかばう歩き方が原因で膝や腰に二次的な問題を引き起こす可能性もあるため、早期の適切な対応が求められます。

  • 手足口病の後に起こる爪のトラブル

    医療

    手足口病の激しい症状がようやく治まり、普段の生活に戻り始めた頃、多くの人が経験するのが「爪の剥がれ」という後遺症です。発症から一ヶ月から二ヶ月ほど経った頃、何の予兆もなく手や足の爪が根元から浮き上がり、自然に剥がれ落ちてしまうのです。この現象は「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」と呼ばれ、特に手足口病の原因となるウイルスの中でも、コクサッキーウイルスA6型が流行した年に多く報告されています。初めて経験すると、非常に驚き、何か悪い病気ではないかと不安になるかもしれませんが、これは手足口病の後遺症としては比較的よく見られるもので、過度に心配する必要はありません。なぜ爪が剥がれるのか、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、有力な説としては、手足口病による高熱や強い炎症が、爪を作る組織である「爪母(そうぼ)」の働きを一時的に停止させてしまうためと考えられています。爪母の活動が一時的にストップすることで、その期間に作られるはずだった爪が欠損し、新しく生えてくる爪との間に隙間ができてしまうのです。その結果、古い爪が押し出されるようにして剥がれ落ちます。通常、この爪の剥がれ自体に痛みはありません。爪が浮き上がってきたら、無理に剥がそうとせず、何かに引っかかって剥がれてしまわないように注意しましょう。絆創膏やテープで保護しておくのがおすすめです。自然に剥がれ落ちるのを待つと、その下にはすでに新しい健康な爪が再生されています。すべての爪が生え変わるまでには数ヶ月かかりますが、基本的にはきれいに元通りになります。ただし、剥がれた後の爪が変形したり、痛みや感染の兆候が見られたりする場合は、皮膚科を受診するようにしてください。