私の左足にかつてない異変が起きたのは、ある春の日の朝でした。健康のために日課にしていたウォーキングから帰宅し、靴を脱いで一息ついた時、左のかかとにズキリと鈍い痛みを感じたのが始まりです。その日は筋肉痛だろうと高を括っていましたが、翌朝、ベッドから降りた最初の一歩で、昨日の比ではない激痛に襲われました。まるで熱した鉄の棒をかかとに押し付けられたかのような、鋭く突き刺すような痛み。あまりの痛さに、思わず声を上げてしまいました。しばらく足を引きずって歩くと少しはましになるものの、椅子から立ち上がるたびに同じ痛みが繰り返されるのです。日常生活に支障をきたし始め、これはただ事ではないと感じ、近所の整形外科の門を叩きました。レントゲン撮影と問診の結果、医師から告げられた病名は「足底腱膜炎」。主に足の使いすぎが原因で、私の場合は慣れないウォーキングで距離を伸ばしすぎたことが引き金になったようでした。治療は、まず第一に安静にすること。大好きだったウォーキングは即刻中止を命じられました。そして、理学療法士の指導のもと、地道なリハビリの日々が始まりました。毎日欠かさず行ったのは、お風呂上がりに体が温まった状態での、ふくらはぎとアキレス腱、そして足裏の入念なストレッチです。最初は痛くて顔を歪めながらでしたが、続けるうちに徐々に筋肉がほぐれていくのが実感できました。ゴルフボールを足裏で転がすマッサージも効果的でした。また、普段履くすべての靴に、衝撃を吸収するためのインソールを入れるようにしました。これだけでも歩行時の負担は劇的に軽減され、外出の恐怖が少し和らぎました。痛みが完全に消え、不安なく朝の一歩を踏み出せるようになるまでには、実に三ヶ月という長い時間を要しました。今ではすっかり回復し、ウォーキングも無理のない範囲で再開しています。あのかかとの激痛は、自分の身体と向き合い、酷使するのではなく労わることの大切さを教えてくれた、忘れられない経験となりました。
かかとの激痛と私の三ヶ月にわたる闘い