大人がRSウイルス感染症と診断された、あるいはその疑いがある場合、特効薬がないからといって何もできないわけではありません。適切なセルフケアと休養が、つらい症状を和らげ、回復を早めるための鍵となります。まず最も重要なのは、十分な休息を取ることです。咳や鼻水、発熱といった症状は、体がウイルスと戦っている証拠であり、非常に体力を消耗します。仕事や家事は無理をせず、できるだけ体を横にして休み、睡眠時間を確保しましょう。特に、咳がひどい場合は体力の消耗が激しいため、安静が第一です。次に大切なのが、こまめな水分補給です。発熱すると体から水分が失われやすくなり、脱水症状を引き起こす可能性があります。また、咳や鼻水で喉や鼻の粘膜が乾燥すると、症状が悪化しやすくなります。水やお茶、経口補水液などを少しずつ、頻繁に飲むことで、体を潤し、粘膜を保護することができます。空気が乾燥していると咳を誘発しやすくなるため、加湿器を使ったり、濡れタオルを室内に干したりして、部屋の湿度を適切に保つことも効果的です。食事は、消化が良く栄養のあるものを選びましょう。喉の痛みがある場合は、熱すぎるものや刺激物は避け、おかゆやスープ、うどんなどがおすすめです。市販の薬を使用する場合は注意が必要です。症状を緩和する目的で、解熱鎮痛剤や咳止め、去痰薬などを使用することはできますが、これらはウイルスそのものを退治するわけではありません。あくまで症状を和らげる対症療法であることを理解しておきましょう。そして、最も重要なのが「人にうつさない」という配慮です。咳やくしゃみをする際は、マスクやティッシュ、腕の内側で口と鼻を覆う「咳エチケット」を徹底してください。家族、特に乳幼児や高齢者とは、できるだけ接触を避け、タオルなどの共用もやめましょう。症状が辛い場合や、呼吸が苦しい、咳が全く改善しないといった場合は、自己判断で我慢せず、必ず医療機関を受信してください。
大人がRSウイルスにかかった時の過ごし方