頻尿の症状で泌尿器科などの医療機関を受診すると、多くの場合医師から「排尿日誌(排尿記録)をつけてみてください」と勧められます。この排尿日誌は頻尿の原因を客観的に評価し診断を下す上で非常に重要な情報源となる、いわば「おしっこの記録帳」です。面倒に感じるかもしれませんが正確な診断と効果的な治療のためにぜひ取り組んでみてください。排尿日誌の記録は通常2~3日間(48~72時間)にわたって行います。記録する項目は主に以下の4つです。①時刻: これは全ての行動の基本となります。24時間の流れが分かるように正確に記録しましょう。②飲んだものの種類と量: 水、お茶、コーヒー、ジュース、アルコールなど口にした飲み物の「種類」とその「量(ml)」を飲んだ時刻と共に記録します。スープや味噌汁なども水分としてカウントします。計量カップなどを使うとより正確に記録できます。③排尿した時刻と尿量: トイレに行った「時刻」とその時に出た「尿の量(ml)」を記録します。尿量を測るためには目盛りのついた専用の計量カップ(尿器)が必要です。薬局やインターネットで購入できます。④尿意切迫感や尿漏れの有無: トイレに行った時の状況をメモとして記録します。例えば「急に我慢できない尿意があって慌ててトイレに行った」「くしゃみをした瞬間に少し漏れてしまった」など尿意の強さや尿漏れの状況を具体的に書き留めます。この排尿日誌を数日間記録することで様々なことが見えてきます。例えば1日の総水分摂取量と総尿量を比較することで水分を摂りすぎていないかが分かります。また昼間の尿量と夜間の尿量を比較すれば夜間頻尿の原因が夜間に尿が作られすぎる「夜間多尿」なのかどうかが判断できます。さらに一回あたりの排尿量を見ることで膀胱にどのくらいの尿を溜められるか(膀胱容量)を推測することができます。一回の尿量が常に100ml以下と少ない場合は過活動膀胱など膀胱の蓄尿機能に問題がある可能性が高くなります。この客観的なデータに基づいて医師はあなたの頻尿のタイプを診断し最適な治療法(生活指導、行動療法、薬物療法など)を提案してくれるのです。