日中のトイレの回数がどれくらいからが「頻尿」と言えるのか。前述の通り明確な定義はありませんが、多くの泌尿器科の専門医がひとつの目安として用いているのが「1日の排尿回数が8回以上」という基準です。これはあくまで一般的な目安であり、水分を1日に2リットル以上飲む習慣がある人や利尿作用のあるコーヒーやお茶を頻繁に飲む人であれば8回を超えてもそれは生理的な反応であり異常ではありません。重要なのは「以前と比べて明らかに回数が増えたか」「回数が増えたことで日常生活に不便や苦痛を感じているか」という自分自身の感覚です。例えば「会議中にトイレに行きたくならないか常に心配している」「バスや電車に乗るのが不安になった」「外出先ではいつもトイレの場所を探している」。このようなQOL(生活の質)の低下を伴っているかどうかが治療を検討すべき頻尿であるかどうかの大きな判断材料となります。日中の頻尿を引き起こす代表的な病気の一つが「過活動膀- chí(OAB)」です。これは膀胱にまだ尿が十分に溜まっていないにもかかわらず膀胱が意思とは関係なく勝手に収縮してしまうことで、突然我慢できないほどの強い尿意(尿意切迫感)に襲われる病気です。その結果何度もトイレに駆け込むことになります。また男性の場合は加齢に伴う「前立腺肥大症」が頻尿の大きな原因となります。肥大した前立腺が尿道を圧迫し膀胱を刺激するため残尿感と共に頻尿が生じます。その他女性の場合は骨盤底筋の緩みや膀胱炎、あるいは子宮筋腫などの婦人科疾患が膀胱を圧迫して頻尿の原因となることもあります。日中のトイレの回数が8回を超えそれがあなたの生活の足かせになっていると感じるなら、それは年のせいだと諦める必要のない治療可能な症状かもしれません。一度泌尿器科や婦人科に相談してみることをお勧めします。