ひどい脇汗がもたらす苦しみは単に「汗が出て服が濡れる」という物理的な不快感だけにとどまりません。むしろそれ以上に深刻なのが他人の視線を過剰に意識してしまうことから生まれる「精神的なストレス」や「コンプレックス」です。この見えない心の負担こそが多汗症に悩む人々を最も深くそして長く苦しめているのかもしれません。グレーや水色といった汗ジミが目立ちやすい色の服は選ぶことさえできない。夏場でもカーディガンやジャケットを手放せず本当は着たいおしゃれな服を我慢している。会議でのプレゼンテーションや好きな人とのデートといった大切な場面で「汗ジミができていないか」ということばかりが気になり本来集中すべきことに集中できない。腕を上げるのが怖くて電車やバスのつり革が持てない。友人との距離が近くなるのが不安で人付き合いが億劫になってしまう。これらは脇汗に悩む多くの人が日常的に経験している切実な悩みです。そして事態をさらに悪化させるのが「汗をかいていることを意識すればするほどさらに汗が出てしまう」という精神性発汗の負のスパイラルです。「汗をかいちゃダメだ」という強いプレッシャーや不安感が交感神経を刺激し結果的に汗の分泌をさらに促進させてしまうのです。この悪循環は自分の意思だけではなかなか断ち切ることができません。この悩みから抜け出すための第一歩は「これは自分の性格や努力不足のせいではない。治療が可能な医学的なコンディションなのだ」と正しく認識することです。そしてその悩みを一人で抱え込まず専門家である医師に打ち明ける勇気を持つことです。医療機関を受診し適切な治療を受けることで汗そのものをコントロールできるようになればそれは絶大な自信に繋がります。「汗の心配をしなくても良い」という心の解放感はあなたの生活の質を劇的に向上させこれまで諦めていた多くのことに前向きに挑戦するきっかけを与えてくれるはずです。
脇汗の悩みと精神的なストレス