大人が手足口病になった時の正しい対処法
もし大人が手足口病にかかってしまったら、残念ながらウイルスそのものを退治する特効薬や治療法は存在しません。治療の基本は、自身の免疫力でウイルスがいなくなるのを待ちながら、つらい症状を和らげる「対症療法」となります。まず最も重要なのは、十分な休息と水分補給です。高熱や激しい痛みは体力を著しく消耗させます。仕事や家事は休み、できるだけ体を横にして安静に過ごしましょう。喉の激痛で水分が摂りにくくなりますが、脱水は最も避けなければならない事態です。一度にたくさん飲もうとせず、麦茶や経口補水液、スポーツドリンクなどを、スプーンで少しずつ、こまめに口に含むようにしましょう。食事も同様に、喉への刺激が少ないものを選びます。熱いもの、辛いもの、酸っぱいものは避け、冷たいお粥や豆腐、ゼリー、プリン、アイスクリーム、栄養補助飲料などがおすすめです。痛みが強い場合は、無理に固形物を摂る必要はありません。まずは水分補給を最優先してください。発熱や喉、手足の痛みに対しては、市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用することができます。用法用量を守って使用すれば、一時的に痛みを和らげ、食事や水分を摂る助けになります。ただし、薬が切れるとまた痛み出すため、過度な期待は禁物です。医療機関を受診する目安としては、水分が全く摂れずに脱水の兆候(尿が少ない、ぐったりしているなど)が見られる場合、高熱が三日以上続く場合、頭痛や嘔吐が激しい場合などです。これらの症状は、まれに起こる髄膜炎や脳炎といった重篤な合併症のサインである可能性があるため、速やかに受診してください。基本的には自宅療養で乗り切る病気ですが、自分の体の状態をよく観察し、無理をしないことが肝心です。